滋賀県内で、これからネットショップを始めようとされている事業者様から「ShopifyとBASE、どっちがいいの?」というご相談をよくいただきます。
Shopify、BASE、STORES、カラーミーショップ……。
ネットショップをつくるためのツールは、いま驚くほどたくさんあります。
「どれが一番売れるんだろう」
「自分にはどれが合っているんだろう」
そうやって画面を眺めて迷ってしまうのは、当然のことです。
もちろん、選ぶツールによって「できること」や「かかる費用」は違うので、目的や予算に合わせて最適なものを選ぶことは大切です。
ただしその前に、一度立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
それは「システム」の話ではなく、あなたの「商売」の話です。
道具を決めるのは、「何を、誰に、どう届けたいか」が見えてからでも遅くはありません。
ECのまとめ記事
システムを決めるのは、いちばん最後でいい

「Shopifyがいいらしい」「BASEなら簡単そうだ」
まずはツールから探したくなる気持ちはよく分かります。
ですが、システム選びに自分たちの商売を引っ張られてはいけません。
先にツールを決めてしまうと、いつの間にか「そのシステムでできること」の範囲内でしか、商売の形を考えられなくなってしまいます。
まずはシステムの話を脇に置いて、「お店の輪郭」をはっきりさせることから始めましょう。
「お店の輪郭」をはっきりさせる2つの視点
「誰に、どう届けるか」の解像度を上げる
ここが固まっていないと、どんなに高機能なシステムを使っても、誰の心にも刺さらないお店になってしまいます。
- どんな人が、どんなシーンで買うのか
- サイトを訪れたとき、どんな印象を持ってほしいのか
- 商品が届いたとき、どんな気持ちになってほしいのか
ただ売るだけでなく、購入後の体験まで想像してみることが出発点になります。
自分たちの「現在地」を客観的に見る(3C分析・STP分析)
例えば、滋賀の伝統工芸「信楽焼」を扱うお店を例に考えてみます。
3C分析:市場(お客さん)・競合(ライバル)・自社(自分たちの強み)を並べて、選ばれる理由を見つける
分析軸 | 内容例 |
|---|---|
市場(Customer) | 「作家の体温が伝わる器で暮らしを彩りたい」と願う都市部の層 |
競合(Competitor) | 安価な量産型の食器や、大規模なインテリアショップの既製品 |
自社(Company) | 若手作家による、現代の食卓に馴染む「モダンで軽やかな信楽焼」 |
STP分析:誰をターゲットにし、どんな立ち位置で勝負するかを明確にする
分析軸 | 内容例 |
|---|---|
ターゲット(Targeting) | インテリアにこだわりがあり、SNSで好きな世界観を探す30〜40代 |
ポジション(Positioning) | 重厚な信楽焼ではなく、日常使いもできる「現代の工芸品」という立ち位置 |
お店の輪郭が見えてくれば、必要な機能(ギフト対応、定期購入、SNS連携など)と理想の雰囲気(洗練された美しさか、温かみのある手触り感か)も自然と決まってきます。「システムに合わせて商売を変える」のではなく、「自分たちの商売にシステムを合わせる」。この順番を守ることで、長く愛されるお店ができあがります。
.自社サイトを持つ4つのメリット
モール(百貨店)に出店すれば、最初は楽かもしれません。ですが長く商売を続けることを考えたとき、自社サイトという「自分の店舗」を持つことには、数字以上の価値があります。
① 「物語」を100%の純度で伝えられる
モールの中では「スペック」や「価格」が主役になりがちで、隣には似たような商品が並び、常に比較され続けます。自社サイトなら、商売に流れる時間や想いを、邪魔されることなく伝えられます。
例:近江茶の茶舗の場合 モールでは「朝宮茶 100g 1,000円」という数値で比較されますが、自社サイトなら霧深い茶畑の風景や焙煎のこだわりを、大きな写真と静かな言葉で伝えられます。
② お客様と「直接」つながる資産になる
モールでの買い物は「Amazonで買った」「楽天で買った」という記憶になりがちで、お店の名前は忘れられやすいものです。自社サイトは「あなたから買った」という体験をつくり、誰が・いつ・何を買ってくれたかという関係性が、誰にも奪われない一生モノの資産になります。
例:琵琶湖真珠のジュエリー店の場合 誰が、いつ、大切な記念日のためにその真珠を選んでくれたのか。自社サイトならその記録が残り、数年後のメンテナンス時期に合わせたお声がけなど、長く続く関係性を築けます。
③ 手数料が少なく、健全な経営ができる
モールに出店すると、売上の10〜15%以上が手数料として引かれることも珍しくありません。自社サイト(SaaS型)であれば決済手数料は数%(3.5〜6%程度)に抑えられます。
例:滋賀の地酒を扱う酒蔵の場合 モールに払うはずだった差額を、上質な梱包資材や季節限定のプレゼント同梱など、次の商品づくりへの投資に回すことができます。
④ 「価格競争」という出口のないレースから降りられる
自社サイトの最大のメリットは、「世界観で選んでもらえる」ようになることです。「安いから買う」のではなく「あなたが好きだから、ここで買う」というファンを増やすこと。これが、価格の叩き合いから抜け出し、自分たちの価値を正当に守るための道になります。
主要4大ネットショップシステムの比較

道具選びで大切なのは、今の売上だけでなく「3年後、どんな店になっていたいか」を想像することです。2026年4月時点の情報をもとに整理しました。
① Shopify(ショッピファイ)——世界標準の本格派。ブランドを「育てる」ならこれ
カナダ発、世界シェアNo.1のシステムです。最大の特徴は「拡張性」。アプリと呼ばれる追加機能を組み合わせることで、定期購入や海外販売、複雑なポイント制度まで、やりたいことをほぼすべて実現できます。
こんな方におすすめ
- 3年、5年と腰を据えてブランドを大きく育てていきたい方
- 1ピクセルまでこだわった独自のブランドイメージを表現したい方
- 将来的に海外販売(越境EC)も視野に入れている方
費用感:ベーシックプラン 月額約3,650円〜(年払い時)。売上が伸びたら、手数料が安くなる上位プラン(月額約10,100円〜)へ移行可能。
使いやすさ:管理画面は美しく整理されていますが、多機能ゆえに最初は少し学習が必要です。慣れれば商売のデータ分析ツールとして非常に強力です。
② BASE(ベイス)——「まずは明日から自分の店を持ちたい」方の味方
日本で最も手軽にネットショップを始められるサービスです。「月額0円」でリスクなく始められ、Instagramとの連携もスムーズで、スマホひとつで商売が完結する気軽さがあります。
こんな方におすすめ
- 初期費用や月額固定費をかけずに、まずはスモールスタートしたい方
- InstagramなどのSNSでの発信がメインで、そこから直接買ってもらいたい方
- 複雑な機能よりも「まずは並べて、売ってみる」スピードを重視する方
費用感:スタンダードプラン 月額0円。月商50万円を超えてきたら、月額約1.6万円の「グロースプラン」への切り替えがお得です。
使いやすさ:圧倒的に簡単です。専門知識がなくても、直感的に商品登録やデザイン選びができます。
③ STORES(ストアーズ)——クリーンなデザインと実店舗連携が強み
BASEとよく比較されますが、より「クリーンで静かなデザイン」が特徴です。実店舗のPOSレジとの在庫連携が強力で、実店舗とネットショップをひとつの在庫として管理できます。
こんな方におすすめ
- 派手な装飾よりも、商品の良さが引き立つシンプルなデザインを好む方
- 実店舗を持っていて、店舗とネットの両方で在庫を共有したい方
- 管理画面の使い心地など、日々の運用のストレスを減らしたい方
費用感:スタンダードプラン 月額3,300円(税込・年契約時)。月額0円のフリープランもありますが、本格運用には手数料の安いスタンダードプランが主流です。
使いやすさ:UIが非常に美しく、マニュアルを読まなくても操作できるほど親切な設計です。
④ カラーミーショップ——日本の商売を知り尽くした老舗の安心感
国内最大級の歴史を持つ老舗サービスです。「熨斗(のし)」や細かい配送指定など、国内向け機能が標準で充実しており、歴史がある分カスタマイズの自由度も高いのが特徴です。
こんな方におすすめ
- お歳暮やお中元など、贈答品(ギフト)需要が多い商売をされている方
- 電話サポートなど、国内の安心できる窓口を重視したい方
- 長年の実績があるシステムで、じっくり国内市場を狙いたい方
費用感:レギュラープラン 月額4,950円(税込)。初期費用として別途3,300円が必要です。
使いやすさ:設定項目が多いため最初は難しく感じるかもしれませんが、日本の商習慣に慣れている方なら、痒いところに手が届く設定の多さに安心できます。
※価格はすべて2026年4月時点の情報です。ご検討の際は必ず各公式サイトで最新料金をご確認ください。
5. 自社サーバー型(WordPress・EC-CUBE)の注意点
WordPress(WooCommerce)やEC-CUBEなど、自分のサーバーにシステムを設置するタイプは、一見「自由で安上がり」に見えます。しかし「お客様の個人情報を自分の手元で預かる」という責任は、個人で背負うにはあまりにも重いものです。
- セキュリティの危険性:常に最新の状態にアップデートし続けなければ、情報漏洩や改ざんの標的になりやすい
- データの管理責任:万が一、顧客情報が流出した際の責任(賠償や対応)は店主自身が負うことになる
ShopifyやBASEのような「SaaS型」は、こうしたセキュリティ対策を24時間体制でプロが管理しています。「商売に集中するために、リスクはプロに任せる」ことも、長く楽しく商売を続けるための大切な守り方です。
6. 「ボタン埋め込み」という選択肢
「今のホームページのデザインは変えたくない」「でもセキュリティのリスクは怖い」という方に知っていただきたいのが、ASP型サービスの「カート機能だけを借りる」方法です。自分のサイトの中に、ASP側が用意した「購入ボタン」を貼り付ける仕組みです。
- どこでもカラーミー(カラーミーショップ):既存のサイトやブログにタグを一行貼るだけで「カートに入れる」ボタンを設置可能。商品説明は自分のサイトでこだわり抜き、決済だけをプロの堅牢なシステムに任せられます。
- Shopify「購入ボタン(Buy Button)」:Shopifyの決済システムを外部サイトに埋め込む機能。ボタンの色や形をカスタマイズしてサイトのデザインに馴染ませられ、世界最高水準のセキュリティをそのまま導入できます。
- BASE「ショッピングカート」:BASEで作った商品を、外部サイトにボタンひとつで表示可能。スモールスタートしつつデザインの自由度も残したい個人店主に向いています。
モール型(Amazon・楽天市場)という選択肢
自社サイトが「路面店」なら、モール型は「百貨店」や「巨大なショッピングセンター」に出店するようなものです。ここでは自社サイトとは別の選択肢として、モール型についても触れておきます。
こんな方におすすめ
- 知名度よりも、まずは「数」を売って早く売上を立てたい方
- 型番商品や、検索されやすい明確なカテゴリーの商品を扱っている方
- ポイント還元などを利用して、リピーターを獲得したい方
費用感
- 楽天市場:月額数万円の固定費+売上の数%の手数料
- Amazon:月額4,900円(大口出品)+販売手数料(8〜15%程度)
- いずれも自社サイト(BASEやShopify)に比べ、トータルの手数料は高くなる傾向があります
使いやすさ:決まった枠組みの中で出品するためデザインに迷う必要はありませんが、「ブランドらしい雰囲気」を出すことは難しく、他店との価格競争に巻き込まれやすい側面があります。
【比較表】自社サイト vs モール型
比較項目 | 自社サイト(Shopify等) | モール型(楽天・Amazon等) |
|---|---|---|
集客 | 自分で頑張る必要がある | モールが連れてきてくれる |
手数料 | 比較的安い | 比較的高い |
デザイン | 1ピクセルまでこだわれる | 決まった型がある |
顧客情報 | 自分たちの資産になる | モール側の管理になることが多い |
ブランディング | 強い物語を伝えられる | 価格やスペックが優先されやすい |
自社サイトが「路面店」なら、モール型は「百貨店」や「巨大なショッピングセンター」の中に店を出すようなものです。それぞれの特徴を知ることで、自分たちの商売に本当に必要な場所が見えてきます。
モールの代表格:Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング
第4章では、これまでお話ししてきた「自社サイト(本店)」とはまた別の選択肢、「モール型」について触れておきましょう。
ネットショップをはじめる際、Amazonや楽天市場といった「ショッピングモール」に出店するかどうかは、非常に大きな分岐点になります。
こんなあなたにおすすめ
- 知名度よりも、まずは「数」を売って、早く売上を立てたい方。
- 型番商品や、検索されやすい明確なカテゴリーの商品を扱っている方。
- ポイント還元などを利用して、リピーターを獲得したい方。
サブスク費用感
- 楽天市場: 月額数万円の固定費 + 売上の数%の手数料。
- Amazon: 月額4,900円(大口出品) + 販売手数料(8〜15%程度)。
- 自社サイト(BASEやShopify)に比べると、トータルの手数料は高くなる傾向にあります。
※価格は2026年4月時点のものです
使いやすさ
モールの決まった枠組みの中で出品するため、デザインに迷う必要はありません。その代わり、自分たちの「ブランドらしい雰囲気」を出すことは難しく、どうしても他店との「価格競争」に巻き込まれやすい側面があります。
【比較】自社サイト vs モール型
比較項目 | 自社サイト(Shopify等) | モール型(楽天・Amazon等) |
集客 | 自分で頑張る必要がある | モールが連れてきてくれる |
手数料 | 比較的安い | 比較的高い |
デザイン | 1ピクセルまでこだわれる | 決まった型がある |
顧客情報 | 自分たちの資産になる | モール側の管理になることが多い |
ブランディング | 強い物語を伝えられる | 価格やスペックが優先されやすい |
まとめ|3つの指針
ネットショップ制作で迷子にならないための3つの指針をまとめます。
- 「システムの機能」に、商売を合わせない:「このシステムにこの機能がないから諦めよう」ではなく、「届けたい体験はこれだから、実現できる道具はどれか」という順番で考える
- 「作る」がゴールではなく「育てる」が本番:公開した日が「誕生日」。お客様の声を聞き、写真や文章を整えながら、少しずつ「お店」として馴染ませていく時間そのものがブランディングになる
- 迷ったら相談から始める:Shopifyがいいか、BASEがいいか。その答えは比較記事の中ではなく、これからの商売のビジョンの中にしかありません
迷ったらご相談からはじめる
Shopifyがいいか、BASEがいいか。その答えは、ネットの比較記事の中ではなく、あなたの頭の中にある「これからの商売のビジョン」の中にしかありません。
「まだ何も決まっていない」「やりたいことが散らかっている」 そんな状態でも構いません。まずは、専門用語を使わずに、あなたの商売への想いをじっくりと言葉にすることからはじめてみてください。
「何で作るか」という技術的な議論の前に、「どんな未来をつくりたいか」を一緒に考えること。 その丁寧な対話の先に、あなたと、そしてあなたのお客様にとって、最も心地よい「お店の形」が見えてくるはずです。