こんにちは、湖と月デザインです。
民泊やゲストハウスの開業を準備している方、あるいはすでに営業しながら「もっとちゃんとWebで発信していきたい」と思い始めたオーナーさんから、「ホームページってやっぱり必要ですか? AirbnbやじゃらんのOTAに登録しているし、縦に長いLP(ランディングページ)だけでも十分じゃないでしょうか?」というご相談をよくいただきます。
結論から言ってしまうと、どちらが正解かは、お店によって違います。ただ、民泊やゲストハウスには、飲食店や美容室とはちょっと違う、宿泊業ならではの事情があります。
では、何を基準に選べばいいのでしょうか。予算や更新の手間ももちろん大切ですが、その前にもっと根っこにある、大切な基準があります。
それは、「あなたの宿には、どんなお客さまが泊まりに来て、何を求めているのか」ということです。
今回は、「うちの宿にはどっちが似合うんだろう?」と迷ったときに、数字やシステムではなく「お客さまの顔」から整理していく考え方をお話しさせてください。
予算の前に「お客さまの顔」を思い浮かべる

たとえば、同じ「民泊・ゲストハウス」でも、お客さまが求めている時間や体験はまったく違います。
A宿: 旅の途中、今夜の宿をさっと探しているバックパッカー。空きがあって、清潔で、アクセスがよければそれでいい。
B宿: 地方移住の候補地を訪れる夫婦。オーナーの人柄、地元の食材への想い、宿の名前の由来まで調べてから、「ここだ」と思った宿に直接連絡してくる。
A宿のお客さまが求めているのは「空室、料金、場所」というスピーディな情報です。一方、B宿のお客さまは「どんな人が運営しているの? 朝ごはんは? 近くにどんな場所がある?」と、大切な一夜を預けられる宿かどうか、じっくり調べてから予約を入れます。
「サッと背中を押してあげる」のが得意なのが1枚で作るLP。 「じっくりと世界観を伝えて安心してもらう」のが得意なのがホームページです。
あなたの宿に泊まりに来てくれるのは、どんな人たちでしょうか。
OTA(予約サイト)があるのに、なぜホームページが必要なの?
飲食店と違って、民泊やゲストハウスにはAirbnb・じゃらん・booking.comといったOTA(予約サイト)という選択肢があります。「OTAに登録しているし、ホームページはなくてもいいんじゃ?」と感じるのは、自然なことです。
ただ、OTAには3つの壁があります。
① 手数料がかかる
OTAを経由した予約には、プラットフォームへの手数料が発生します。客単価が高くないゲストハウスや民泊にとって、この積み重なりは少しずつ効いてきます。ホームページからの直接予約が増えると、その分が手元に残ります。
② 宿の世界観が伝えきれない
OTAのページは、どの宿も同じテンプレートで並んでいます。開業までの物語、オーナーの人柄、地元への愛着。そういった「宿の体温」を伝えるには、どうしても限界があります。
③ お客さまとの関係がOTA頼みになる
OTA経由で来てくださったお客さまは、次に来るときもOTAを使うのが自然な流れです。あなたの宿と直接つながれる場所が、どこにもない状態が続きます。
ホームページは、こうしたOTA依存から少しずつ自立していくための、あなたの宿の「自分の場所」です。
お客さまは、どのSNSにいる?(年齢・男女別の特徴)

宿探しって、実は「検索」だけではありません。ふと流れてきた写真に惹かれたり、誰かの投稿を見てはじめて知ったり。だから、お客さまが普段どこにいるかを考えることも、とても大切なことなんです。
宿に来てほしいお客さまの顔が浮かんだら、次はその人たちが「普段どこにいるか(どのSNSを使っているか)」を考えてみます。SNSから、LPやホームページへ案内する流れを作るためです。
SNSの種類 | 主な年齢層 | 男女比の傾向 | 宿探しにおける特徴と空気感 |
|---|---|---|---|
20代〜40代 | 女性がやや多め | 部屋の雰囲気・朝食・ロケーションを視覚で探す。古民家や手作り感が響きやすい。 | |
10代〜20代 | 男女ほぼ半々 | 動画の勢いで「ここ泊まりたい!」という衝動をつくる。インバウンド旅行者にも届きやすい。 | |
20代〜40代 | 男性がやや多め | 「この宿よかった」という口コミが広がりやすい。オーナーの飾らない日常発信が共感を呼ぶ。 | |
40代〜60代 | 男性がやや多め | 地域コミュニティや移住関連グループでの口コミ。長期滞在・移住検討層に届きやすい。 |
たとえば、「20〜30代の女性に、古民家の風情や手作りの朝ごはんを体験しに来てほしい」なら、InstagramからLPへつないでサッと予約してもらう流れが美しく機能します。
逆に、「40代以上のご夫婦に、地域の暮らしや食文化をゆっくり味わってほしい」なら、FacebookやGoogle検索からホームページへ訪れてもらい、宿の物語をじっくり読んでいただく方が、きっとしっくりくるはずです。
タイプ別比較:LPで十分な宿、ホームページが向いている宿
お客さまの顔と、使っているSNS。そこから見えてくる「あなたの宿に似合うWebの形」を、少し具体的に表にまとめてみました。
比較項目 | LP(ランディングページ)で十分な宿 | ホームページが向いている宿 |
|---|---|---|
お客さまの層 | トレンドに敏感な10〜30代が中心 | じっくり宿を選びたい30代〜シニア層 |
求めている体験 | 「話題のゲストハウス」にサッと泊まる | 「オーナーの想い・土地柄・空気感」を含めて選ぶ |
集客の入り口 | InstagramやTikTok、OTAからの流入 | 「地域名+古民家宿」など、丁寧な検索 |
Webの役割 | 迷わせず、最短で「予約」へ導く | 宿の物語を伝え、深く「共感」してもらう |
OTAとの関係 | OTA経由が中心でも成立しやすい | 直接予約を育てて、OTA依存を減らしていける |
飲食店と違い、宿泊業はお客さまが「一晩を預ける」だけに、予約前の情報収集がとても丁寧です。だからこそ、世界観をじっくり伝えられるホームページが、長い目で見て宿の力になっていきます。
更新機能(microCMS等)は必要?
「自分たちでお知らせを更新できるようにしたい」というご要望も多いですが、現場の状況によっては「あえて入れない」という選択も、ひとつの正解なんです。
項目 | 更新機能を入れたほうがいい場合 | 無理に入れなくてもいい場合 |
|---|---|---|
運営状況 | 季節のプランや周辺イベント情報の更新が頻繁にある | チェックイン対応や清掃で忙しく、Web更新まで手が回らない |
更新の目的 | 宿泊プランや地域情報を常に新鮮に保ちたい | 基本情報は固定で、日々の発信はSNSで十分 |
立派な仕組みを入れても、結局忙しくて「誰も触らなくなってしまった…」となるくらいなら、最初からシステムは入れず、日々の発信は使い慣れたInstagramやXに任せる。そんな「引き算」も、宿の景色をきれいに保つための大切なデザインだと思います。
もし更新機能を入れる場合でも、重たいWordPressである必要は必ずしもありません。宿の現場って、想像以上に忙しいものです。「難しい管理画面を覚える」より、「今日のお知らせを迷わずサッと更新できる」ほうが大切な場面もあります。お知らせや宿泊プランを書き換えるくらいなら、もっと軽やかでサクサク動く「microCMS」という選択肢もあります。現場のオーナーさんが迷わず使える心地よさがあって、湖と月デザインでもよくおすすめしています。
民泊・ゲストハウスにホームページは必要?湖と月デザインの考え方
お宿を探すとき、最近はGoogleマップ(Googleビジネスプロフィール)から見つけるお客さまが本当に増えました。Googleビジネスプロフィールの活用(MEO対策)についてはこちらの記事でもお話ししていますが、まずはマップからたどり着ける「公式な案内所」として、ホームページやLPを整えておくのが基本になります。
そのうえで、私たちが考えるシンプルな結論はこうです。
- SNSやOTAから来て、ひとつの行動(予約)をしてほしいなら「LP」
- 検索から来て、宿の空気を丸ごと愛してほしいなら「ホームページ」
湖と月デザインでは、一過性のバズを狙ったり、無理な売り込みをするよりも、質の高い情報をきちんと置いて、検索からお客さまを「待つ」ような集客を大切にしています。だからこそ、宿の余白や、オーナーの体温までを丁寧に伝えられるホームページをご提案することが多いんです。
大切なのは「どうやって来てもらいたいか」です
民泊・ゲストハウスにとって一番大切なのは、「どうやって作るか」「何を作るか」の前にある、もっとシンプルなことです。
「どんなお客さまに、どんな気持ちで扉を開けてもらいたいか」ということです。その想いさえはっきりすれば、あなたの宿に必要な「Webの形」はごく自然に見えてくるはずです。
「うちの宿のお客さまには、どういう形が似合うんだろう?」 もしそんなふうに迷われたら、一人で抱え込まずに、一度頭の中を整理するつもりでお気軽にご相談くださいね。




