こんにちは。湖と月デザインです。
「おしゃれなサイトにしたい」。Web制作のご相談で、私たちがよくいただく言葉です。 同時に、実際に制作の相談を受けていると、「綺麗なんだけど、なんか違う」「他社と似てしまう」という声も本当によく聞きます。
今のWeb業界は、綺麗で整った「おしゃれなサイト」であふれています。でも、その大半が、会社名とロゴを別の会社のものにすり替えても誰も気づかないようなデザインになっているのが現実です。
なぜ、プロに頼んで綺麗に作ったはずなのに「自社らしさ」が消えてしまうのか。今回は、その違和感の正体と、細部にまで血を通わせた「ブランドらしいデザイン」の作り方について紐解いていきます。
本題に入る前に、少しだけ。 もし今、「そもそもmicroCMSって何?」「他のツールと何が違うの?」という全体像をまず知りたい、という方は、こちらのmicroCMSとは?の記事を先に読んでみてください。
これからお話しする具体的な内容が、もっとスッと、自分ごととして入ってくるはずです。
ブランドらしいデザインとは何か?

そもそも、デザインにおいて「らしさ」とは何でしょうか。 わかりやすい例として、滋賀県を代表するロックフェスイナズマロックフェスと、大津の秋の風物詩である大津祭を想像してみてください。
烏丸半島で行われるイナズマロックフェスなら、カラフルな看板、ポップな書体、至る所に配置された案内マップなど、「楽しくて、軽くて、迷わない」というワクワクする空気が作られています。 一方、歴史ある大津祭ならどうでしょう。夕暮れに灯る提灯、コンチキチンというお囃子とともに響く「トコヨイ、トコヨイ」という威勢の良い掛け声、そして重厚な曳山(ひきやま)。そこには「歴史の継承」や「地域の誇り」が漂っています。
どちらも同じ滋賀の「イベント」ですが、参加者にどう感じてほしいかという「設計思想」がまったく異なり、それが空間の空気や音といった「細部」に明確に現れています。
Webサイトもこれと同じです。 デザインとは、単に表面を「おしゃれな雰囲気」に飾ることではありません。「誰に、どんな感情を抱いてほしいか」という意味を細部まで設計することそのものです。
項目 | ||
イベントの性質 | 現代の音楽フェス | 歴史ある伝統的なお祭り |
空間の細部(ディテール) | カラフルな看板、ポップな書体、至る所に配置された案内マップ | 夕暮れに灯る提灯、コンチキチンのお囃子、「トコヨイ」の掛け声、重厚な曳山 |
参加者に与える印象 | 楽しくて、軽くて、迷わない(ワクワクする空気) | 歴史の継承、地域の誇り(厳かさや重み) |
デザインは「見た目」だけではない
私たちはよく、「見た目は一番最後の結果です」とお伝えしています。
美しいレイアウトや滑らかな動きは、あくまでアウトプットです。その手前には、「どんな順番で情報を伝えるか」「このボタンにはどんな意味を持たせるか」「ユーザーにどんな体験をして帰ってもらうか」という、目に見えない骨組みの作業が膨大に存在します。
その骨組みのなかに、企業の哲学やスタンスといった「エッセンス」を溶け込ませていく。それができて初めて、血の通った「デザイン」になります。
ブランドらしさはどうやって生まれるのか

「ボタンが押しやすい」「読み込みが速い」といった機能面や操作性は、もちろん素晴らしいことです。私たちが採用しているmicroCMSの大きな武器の一つでもあります。
しかし、ブランドを作る上では、それだけでは足りません。機能性が高いことは、いわば「土台」です。その上に、「誰のための、何を目的にした体験か」という芯が通っていなければ、ただの情報を羅列するホームページで終わってしまいます。
ブランドらしさを生み出すには、まず自分たちの価値を言葉にする「言語化(コンセプト)」が必要です。そして、「何を伝え、何をあえて伝えないか」という優先順位を決めること。「自分たちは世の中からどう見られたいのか」を突き詰めた先にこそ、独自の「らしさ」が宿ります。
「機能的な土台」から「ブランドのらしさ」へと積み上がっていく構造を、UI・UX・グラフィック(ブランディング)の3つの視点で整理しました。
それぞれの役割と、具体的に何を設計するのかを対比させています。
ブランドを形作る要素を整理すると、単なる「操作性」の先にある「独自の質感」の重要性が見えてきます。
カテゴリ | 役割・位置づけ | 具体的な設計内容 |
UI(操作性・機能) | 「土台」 |
|
UX(体験・目的) | 「芯」 |
|
Graphic(視覚・らしさ) | 「質感」 |
|
なぜ多くのサイトは「らしくない」のか
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それにもかかわらず、なぜ世の中には「似たようなサイト」があふれてしまうのでしょうか。 結論から言うと、「あらかじめ用意されたテンプレートに、自分たちを無理やり当てはめてしまっているから」です。
決まったレイアウトの中に、とりあえず用意した写真とテキストをはめていく。用意されたパーツをただ組み立てる。たしかにこの作り方は、効率的で楽な方法です。
しかし、テンプレートの構造に乗せた瞬間、「細部の表現」は制限され、その会社らしさは平均化されて「どこかで見たような印象」に近づいていきます。効率化と引き換えに、一番大切な「ブランドの質感」を失ってしまっている。これが、「おしゃれなのに誰の記憶にも残らないサイト」が量産される違和感の正体です。
だからこそ「自由な設計」が必要になる
私たちが制作現場でmicroCMSというシステムを好んで使う理由は、まさにここにあります。
実際にいくつかのCMSを触ってきた中で感じていることですが、microCMSのような「ヘッドレスCMS」と呼ばれる仕組みは、従来のシステムのように特定のプラグインやjQueryなどの古いライブラリ、あるいは決められたHTML構造に縛られることがありません。
「システムができること」にデザインを合わせるのではなく、「表現したいデザイン(設計)」にシステムを合わせることができるのです。
ありもののシステムにデザインを妥協させる必要がないからこそ、ブランドの細部にまでこだわり抜くことができる。そのための“裏方”として、私たちはmicroCMSを使っています。
デザインが変わると、何が変わるのか
テンプレートをやめて、自社らしいデザイン・構造設計でサイトを作り直すと、明確な変化が起きます。
自社らしさやブランドのコンセプトが伝わりやすくなり、ユーザーの反応が「なんか綺麗でいい感じ」から「この会社の言っていること、すごく腑に落ちる」「自分に合っている気がする」という深い共感へと変わります。
メッセージが「ちゃんと伝わる」ようになり、他の無数のサイトの中に埋もれず、記憶に残る。これは、採用活動においても、企業のブランディングにおいても、圧倒的な強みになります。
こんな会社に向いています
ここまでお話ししてきてお分かりの通り、私たちが提案する「ブランドらしいデザインの設計」は、どんな会社にでも合うわけではありません。
「とにかく安く、早く、名刺代わりのサイトができればいい」という会社には、私たちの作り方はまったく向いていません。
一方で、現在こんな違和感や悩みがある会社には、私たちの作り方が間違いなくフィットします。
- テンプレで作ったけど、どうしても自社らしさがしっくりきていない
- デザインは綺麗なのに、思ったように問い合わせに繋がらない
- 自分たちの本当の強みや魅力が、うまく言語化できていない
- 採用サイトはあるのに、応募者とのミスマッチが起きている
「時間がかかっても、長く愛されるブランドの土台を作りたい」。そう本気で考えている会社にとっては、これ以上ない強力な武器になると確信しています。
7. まとめ|「らしさ」は、設計の先に宿る
綺麗で整っただけのサイトなら、今はAIや無料のツールを使えば、誰でも簡単に作れてしまう時代です。だからこそ、表面的な「おしゃれさ」の価値はどんどん下がっています。
「らしさ」は、見た目を飾り立てることではなく、細部にまで血を通わせた深い設計の先に静かに宿るものです。
競合と同じようなサイトを眺めながら、「うちの会社は、本当はもっと違うはずなのに」とモヤモヤしているなら。もし今、「なんとなく違う」と感じているなら、その感覚はかなり正しいと思います。
その違和感は、きっとブランドを新しく形作るための、大切なスタートラインです。私たちは、この「らしさ」を設計することに、これからも正面から向き合い続けます。




