こんにちは、湖と月デザインです。
滋賀を象徴する風景のひとつ、近江八幡。有名な名所ももちろん印象に残りました。けれど、それ以上に心に残ったのは、歩いていてどこかほっとする、街全体の「重なり方」の美しさでした。
今回は、単なる観光地めぐりではなく、この街に流れる「認め合い、共存する美意識」を、4つのデザイン原則としてデザイナーの視点から読み解いてみます。実はこの原則、私たちがホームページを設計するときにも、そのまま大切にしている考え方です。
素材への誠実さ「飾るのではなく、信じる」

近江八幡での時間は、ランチに訪れた江湖庵(こうこあん)からはじまりました。ここは、ハンコ職人さんのお店と兼務で営まれているという、少しめずらしい古民家のお食事処です。
「職人の工房」と「お食事処」。違う生業がひとつの古い建物の中に違和感なく同居しているこの空間そのものが、思い返せば、このあと街全体で感じることになる「共存」というテーマの、最初の入り口だったのかもしれません。

いただいたお料理は、飾らないけれど、素材そのものが持っている力をまっすぐに信じているような、とてもナチュラルな手触りでした。派手な演出で驚かせるのではなく、土から生まれたものの良さを、そのままそっと差し出す。

これは、ホームページづくりでも同じです。装飾や派手な演出を重ねるより先に、その会社が本来持っている強み――商品やサービス、そこで働く人たちの言葉――を信じて、まっすぐ届ける設計の方が、結局は伝わります。
体験は、一方通行ではつくれない 「見る側と、見られる側の関係」

街の象徴である「八幡堀(はちまんぼり)」へと足を運びます。かつて城を守り、町に人や物を運ぶためにつくられた人工の水路です。

この堀に、ゆっくりと進む舟。舟を漕ぐ人の背中と、そこに揺られるお客さん。その光景は、ただ眺める側にとっての「美しい景観」である以上に、舟に乗っている人と、それを見た人の両方が味わう「観光体験」そのものとして、そこにありました。舟に乗る人は水面からの景色を楽しみ、歩く人は舟のある風景に情緒を感じる。お互いがお互いを引き立て合い、ひとつの豊かな時間をつくっている。
ホームページも、実は同じ構造でできています。運営する側が「見せたいもの」だけを一方的に並べても、伝わる体験にはなりません。訪れる人がどう感じ、どう動くかまで含めて設計してはじめて、心地よい体験になります。
新しさは、古さを否定せず、寄り添う

雨が降り出し、しっとりと濡れた石垣や瓦の質感に包まれながら、新町通りを歩きます。たとえば、古民家で営まれているお医者さん。木枠の中に「透明なアクリル板と黒っぽい文字」で設えられた看板が、建物の質感を透かしながら風景に馴染んでいました。

軒を連ねる商店や飲食店もそうです。「便利さ」や「新しさ」を無理に主張するのではなく、街の文脈を尊重してそこに在る。新しさが、古い歴史を否定するのではなく、敬意を持ってそこに添えられている。
ホームページをリニューアルするときも、これは大切な視点です。最新のトレンドに合わせることと、その会社がこれまで築いてきた個性を消してしまうことは、まったく別の話です。私たちは、その会社らしさに新しい形を「添える」ことを大切にしています。こうした小さな重なり合いが静かに積み重なることで、街全体に揺るぎない心地よさが生まれています。これは、私たちがホームページ制作で大切にしている、全体を整える感覚にも通じる、滋賀らしい美意識の形かもしれません。
小さく選べる余地が、愛着をつくる

散策の終わりは、仁ノ助(じんのすけ)コーヒーへ。
丁寧に迎えていただき、いただいたのはアイスコーヒーと濃厚なチーズケーキ。
ふと棚に目を向けると、おしゃれなマグカップが並んでいます。ホットコーヒーなら、その中から好きなものを選んで淹れてもらえるのだとか。「自分のためのひとつ」を選べる。そんなちいさな喜びが、このお店の優しさを物語っているようです。
ホームページも、隅々まで作り手の意図で固めてしまうより、訪れた人が「自分に合うもの」を見つけられる小さな余白を残す方が、記憶に残ります。
まとめ
最後にコーヒーを飲みながら振り返ると、印象に残ったのは建物や名所そのものよりも、やはり「街のあり方」でした。目立たせるのでもなく、ただ整列させるのでもなく、すべてが認め合い、関わり合いながら景色をつくっていく力。
素材への誠実さ、双方向の体験、寄り添う新しさ、選べる余白。近江八幡が教えてくれたこの4つは、そのまま私たちがホームページをつくるときに大切にしている姿勢でもあります。滋賀には、まだまだこんな「美しい共存」が隠れているのかもしれません。