ホームページをつくろうと思い立ち、制作会社に見積もりを頼んでみる。出てきた金額を見て「えっ、こんなにするの?」と驚いた経験がある方は、案外多いんじゃないでしょうか。
「無料でもホームページを作れる時代なのに、なぜこんなに高いんだろう」
そう思うのは、ごく自然なことです。スマートフォンのアプリのように、ボタンをいくつか押せばパッとできあがる、そんなイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。
今日は「オリジナル制作のホームページはどうして高いのか」について、すこし裏側のお話をさせてください。見積もり書に並ぶ、見慣れない言葉たちの正体も、一緒にほどいていきます。
テンプレート制作とオリジナル制作の違い
ホームページのつくり方には、大きく分けて「テンプレート制作」と「オリジナル制作」があります。
テンプレート制作は、いわば「既製服」のようなものです。あらかじめプロが用意したデザインの枠組みに、自分たちの写真やテキストを当てはめていく。手軽でスピーディなのが最大の魅力で、コードを書かずに画面がつくれる「Wix」や「STUDIO」「Shopify」といったノーコードサービスも、この考え方と相性がいいです。
一方でオリジナル制作は「オーダーメイドの服」に近いものです。お客さまの骨格を測り、どんな場面で、どんな人と会うときに着る服なのかをじっくり聴いたうえで、ゼロから糸を選び、布地を縫い合わせていきます。
わたしたち湖と月デザインは、このオリジナル制作を専門にしています。その企業にしかない「温度感」や、言葉の裏にある想いを形にするには、ゼロからの深い対話がどうしても欠かせないと考えているからです。
見積もりの中身を分解してみる
オリジナル制作の見積もりには、具体的にどんな時間と手間が含まれているのか。ひとつずつ分解してみます。
Web企画(工数:半月程度)
まずは「どんなサイトにするか」を決める作戦会議です。サイト全体の地図にあたる「サイトマップ」や、ページのどこに何を配置するかの設計図(ワイヤーフレーム)をつくります。ただ図面を引くだけでなく、お客さまの頭の中にあるモヤモヤとした課題を、対話を通じて言葉にしていく時間でもあります。さらに「つくった後、誰がどうやって育てていくか」という運用方法まで、ここで地盤を固めます。
制作ディレクション
見積もりによく出てくるこの言葉は、家づくりでいう「現場監督」の役割に近いものです。スケジュールを管理し、デザイナーやエンジニアをまとめる。ただ、いちばんの仕事は、企画段階で決めた「一番大切にしたい想い」が制作の途中でブレたり迷子になったりしないよう、プロジェクト全体を導き続けることです。
要件定義
ホームページにどんな機能を持たせるかを決める作業です。お問い合わせフォームにはどんな項目が必要か、検索機能はいるのか。「あれもこれも」と欲張るのではなく、ユーザーにとって本当に親切な機能は何かを見極めながら、細かなルールを定めていきます。
デザイン(工数:1ヶ月程度)
設計図をもとに、色や形、フォントを選び、ブランドの魅力を視覚的に表現していきます。ここで意識するのは、表面をキレイに飾り立てることではなく、むしろ不要な装飾を削ぎ落とすことです。そうして生まれる「余白」にこそ、企業の見えない「らしさ」が宿ります。規模にもよりますが、この引き算のデザインに1ヶ月ほど時間をかけます。
コーディング(工数:半月程度)
デザインの画像を、ブラウザで見られるようにコードへ翻訳していく作業です。見えないところですが、実はここが一番差の出る部分です。「画面と同じように表示されればいい」わけではなく、見出しには見出しの、段落には段落の意味を正しく持たせたコードを書くこと。そうすることで検索エンジンにも情報が正しく伝わり、長い時間をかけて価値を生み出す「検索されるされやすいホームページ」へと育っていきます。
実装(WordPressやmicroCMSなど、工数:1ヶ月程度)
できあがったサイトを、お客さま自身でブログやお知らせを更新できるように、裏側のシステムを組み込む作業です。つくって終わりではなく、日々言葉を紡ぎ、資産として蓄積していけるように息を吹き込む。ここまでの工程がすべて噛み合って、ようやくひとつのホームページが動き出します。
なぜオリジナル制作を選ぶのか
これだけの手間と時間をかけて、なぜオリジナル制作を選ぶのか。
テンプレートは便利ですが、どうしても「どこかで見たことのあるレイアウト」になりがちです。また、どんな人でも使えるようにと機能が詰め込まれているぶん、実際には使っていない裏側の機能のせいでサイトの表示速度が重くなってしまうことも少なくありません。
オリジナル制作の本当の価値は、その「いらないものを、思い切って削ぎ落とせる」ことにあると思います。誰かにとっての便利機能を削ぎ落とし、自分たちにとって本当に必要なものだけを磨き上げる。軽やかに動き、独自の機能を持ち、ブランドの体温がまっすぐ伝わる場所をつくれることが、オリジナル制作の強みです。
そもそも、なぜホームページをつくるのか
ここまでオリジナル制作の話をしてきましたが、最後にもうひとつだけ。
「そもそも、どんな課題を解決したくてホームページをつくるのか」
この問いが、実はなによりも大切です。抱えている問題や目的、事業のフェーズによっては「今は手軽なテンプレート制作で十分」というケースも当然あります。無理に高価なオリジナル制作をする必要はありません。
大切なのは「とりあえず今っぽいサイトをつくる」ことではなく、「目の前の問題に応じた、ちょうどいいホームページをつくる」ことです。
まとめ
ホームページ制作の見積もりには、対話・進行・設計・デザイン・コード・システムという、いくつものプロフェッショナルの手仕事とじっくり向き合う時間が詰まっています。それが「オリジナル制作は高い」と言われる理由です。
その時間と手間は、あなたのビジネスの魅力を画面の向こう側にいる誰かへ正しく、深く届けるためのものです。これからホームページをつくろうと考えていて見積もりを見る機会があったら、その紙一枚の裏側で動いている見えない時間と思考のことも、少しだけ思い出していただけたらと思います。