こだわりポイント概要
- クライアント:大洋珈琲(大阪市中央区谷町、1959年創業の自家焙煎珈琲店)
- 依頼内容:老朽化したWebサイト・ECシステムの緊急リニューアル
- 担当範囲:要件整理・システム設計・デザイン・コーディング・EC構築・SEO対応
- 制作のポイント:保守負担を最小化する構成/個人情報リスクの切り離し/10年使える設計
大洋珈琲さまは、大阪市中央区谷町で1959年から営業を続ける自家焙煎珈琲店です。ブルーマウンテンNo.1やブルボンアマレロ、有機栽培の東ティモール産など豆のラインナップが豊富で、お客様の好みに合わせたオーダー焙煎やコーヒーギフトにも対応されています。長年培われた焙煎技術と豆選びへのこだわりが、多くのファンを持つ理由です。
突然の危機:制作会社の廃業とデータ消失リスク
ご相談をいただいた時点で、すでに状況は切迫していました。以前契約していた制作会社が事業を停止しており、ドメイン以外のデータはすべて失われていたのです。サイトがいつ消えてもおかしくない、そんな中からのスタートでした。

調べていくと、事態はさらに深刻でした。WordPress本体もプラグインもPHPもデータベースも、すべてが古いバージョンのまま。動いていること自体が奇跡のような状態です。しかも、その脆弱なサーバーの上に、個人情報を扱うショップシステムがそのまま同居していました。管理画面へのアクセス権すら手元になく、大洋珈琲さまご自身も、自分たちのサイトがどんな状態にあるのか、正確には把握できていませんでした。
「気づいたときには、もう手を打つしかない状態だった」
今回のリニューアルは、そんな緊急対応から始まっています。
方針:「10年使えるホームページ」という設計思想

この状況を踏まえて、湖と月デザインが今回の軸に据えたのが「10年使えるホームページ」という考え方です。派手な機能を追加することよりも、まず、システムアップデートの負担がなるべく発生しない、健やかな構成にすること。次に、一時的な流行に左右されず、長く使い続けられるデザインにすること。そして、商品ページを大洋珈琲さまご自身の手で、無理なく編集できるようにすること。この3つを、最初から最後まで判断基準にしました。
デザインとシステム:モダンレトロと持続可能な運用

デザインは、最新の派手さを追うのではなく、お店の歴史や温かみを反映した「モダンレトロ」なトーンでまとめました。大洋珈琲さまが本来持っているブランドイメージに、まっすぐ寄り添う方向性です。
システム面では、持続可能な運用を最優先しました。コンテンツ管理には「microCMS」を採用し、WordPressのような継続的な保守・アップデート対応を最小限に抑えています。日々の更新のしやすさは維持しながら、専門知識を要するセキュリティ管理の手間を大幅に軽減しました。

ECシステムには、自社でデータベースを持たない「BASE」を採用しています。以前のように、古いサーバーに顧客情報が蓄積されていくリスクを断ち切り、決済や個人情報の管理は、信頼できるプラットフォーム側に委ねる構成へと刷新しました。大洋珈琲さまも、私たちも、個人情報を直接抱え込まずに運営に専念できる体制です。

あわせて商品ページにはJSON-LDによる構造化マークアップを実装し、Google検索結果に価格や商品詳細が適切に表示されるよう、内部構造からもSEO対応を行っています。
経営の視点で見ると

今回の対応を、技術の話としてではなく、経営として見るとどうなるか。一番の危機は、制作会社が廃業して連絡が取れなくなったことでした。これは、自分たちの商売の生命線を、まるごと他人に握られていたということでもあります。

そしてこの危機は、実は「何年かに一度、同じことが起きうるリスク」でもあります。数年ごとに制作会社を探し直して、また一から作り直す。それを繰り返すのか、それとも一度きちんと設計して、10年単位で付き合っていくのか。今回の選択は、その分かれ道でもありました。
リニューアル後の反響
公開後のサイトは、「大洋珈琲さまらしさ」がより明確に伝わる場所になりました。新しくなった商品ページは、公開直後から動き出し、実際の販売につながる反響を得ています。
老舗店舗のホームページには、「制作会社と連絡が取れなくなった」「古いシステムのままでセキュリティが不安」といったケースが、実はめずらしくありません。同じような課題を抱えている店舗・事業者の方は、一度ご相談ください。